伝統文化調査

目的

・文化の衰退を日本のみならず世界の「社会問題」と位置付け、社会全体が文化を大事にできる土壌を作る
・後継者育成、素材の不足、道具の調達難等、様々な課題を抱える伝統工芸産業の現状を整理する
・持続可能な伝統工芸産業の実現を目指す

背景

伝統的工芸品産業振興協会の統計調査によると、1983年から2015年にかけて日本の伝統工芸品の生産額は80%縮小しています。
具体的な課題としては、 (1)後継者問題、(2)原材料不足、(3)道具の調達難、が挙げられます。

(1)後継者問題

近年、伝統工芸の世界で跡継ぎがいなくなり、職人の数が著しく減っています。
一般財団法人伝統的工芸品産業振興会の統計情報によれば、日本全体の伝統工芸従事者数は1983年をピークに2015年時点で1/5に減少しています。先の見えない将来を悲観して後継者を育成しない職人が増えています。

一般社団法人日本工芸産地協会 資料より

(2)原材料不足

伝統工芸品を作るには様々な原材料が必要です。近年、需要の減少に伴い、素材の調達が難しくなっています。
例えば、日本人形の顔に白塗りする胡粉、和蝋燭に使用する櫨の実、かつらに使用する人毛が挙げられます。
また、金属や木材は、材料そのものは豊富にあるものの、近年の価格高騰により調達しづらくなっています。

(3)道具

伝統工芸の職人は一社あたり数人でものづくりをしており、使用する小刀や筆なども数本単位で注文することが多いですが、小ロット(少ない注文量)では注文を断られ、自分で作ったり、閉業した同業他社から分けてもらうことが多くあります。
また、ミシンや機械類は、故障の際に修理ができる会社も残っていないことも多々あり、職人さんにお話を聞くと、「1本の小刀を何十年も大事に使っている」という方や、「100年以上前の機械を使用している」という話も耳にします。

伝統工芸用具・原材料に関する詳細については、こちらをご覧ください。

内容

Culpediaは京都を中心に伝統工芸品製作に携わる職人、組合、販売店を訪問し、「職人」「原材料」「道具」の3軸で状況をヒアリングし、資料にまとめています。
また、伝統的な文化が危機に瀕している状況は日本に限らないため、海外でも調査を行っています。

持続可能な伝統工芸産業の実現を目指しています。

越境文化交流

目的

日本と海外の文化を越境させることで、国境を越えた身内意識を醸成する

背景

伝統文化は、人々のアイデンティティを形成し、人と人とのつながりを生み出します。
国境を越えた相互交流は、人間社会における国境を越えた親近感を育み、ひいては世界平和に貢献する上で、今のような世界が不安定な時代には大きな意味を持つと信じています。

内容

Momotaro Project

Momotaro projectは、日本の昔話である桃太郎を、英語、インドネシア語、ペルシア語に翻訳をし、3か国の伝統絵画の画家に挿絵を描いて貰う、というプロジェクトです。

桃太郎は、鎌倉時代の『保元物語』が雛形で、その後、室町・江戸時代にストーリーが出来上がったとされますが、海外を起源とした物語という説もあり、古代ギリシャ、古代インド、中国や朝鮮半島にも類話があると伝えられます。

そんな、日本では誰もが知っている桃太郎を、物語についての背景知識を持たない海外の画家が描けば、お国柄や地域性が出た多様な桃太郎が仕上がるのではないかと考え、2022年7月にプロジェクトを始めました。
発足時点では伝統絵画の画家との伝手はありませんでしたが、様々な人の支えで1年後の2023年7月には全ての絵が完成しました。

本展覧会では、日本の伝統的なおとぎ話であり、また、海外との繋がりを持つ桃太郎をテーマに据え、ある国の物語が別の国の伝統に則って絵画を作ることで、人々が心のやり取りができるような場づくりを目指しました。

詳細はこちらのページをご覧ください

Momotaro Wayang

2023年12月、インドネシアのジョグジャカルタ市にて、「Momotaro Project in Indonesia」を開催します。
同月に日本で開催するMomotaro Projectは、インドネシア・バリ島の伝統絵画の技法で桃太郎を描きましたが、Momotaro Project in Indonesiaでは、インドネシアの伝統芸能であるワヤン(影絵芝居)により、桃太郎を演じます。

詳細はこちらのページをご覧ください